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会報第38号(平成23年9月)/神奈川銀鈴会


手術後のリハビリを兼ねた登山
松嶋 直 記((横浜教室 監事 上級))


早いもので十年経過し、何事もな く現役続行した生活を継続できた事 に体調もさることながら、家族の支 えに感謝している毎日です。 手術後5年過ぎた頃、喉摘者仲間 5人で大菩薩嶺挑戦を計画、其年8 月17日に出発、全行程二日間の行 状記を書いてみます。
 1日目、昨晩のTVニュースによ れば、早朝より雲行き怪しき予報、 しかし今朝は我が部屋の窓は東向き、 カーテンの隙間から差し込む眩しい 朝日に安堵し起床。食卓では持参す る昼食用に竹皮特製の弁当が早々と 準備完了し、水筒(マグボトル)に は熱湯充填。
 これは昼食時の味噌汁用、準備の 妻に感謝しつつ出発。6時過ぎ自宅 発。8時40分塩山到着、天候は心 配なくも、反面厳し過ぎる暑さを覚 悟し、町営バスで大菩薩峠登山口ま で乗車、運賃50円(身割)約30 分乗車で何とも気が引ける運賃だ。 9時50分登山ロバス停。番屋茶屋‘ 着、この時点で900メートル、店 内ショーケースに乱雑に冷やされた 特大の桃が見え、女将に早速問うと 皮剥いてあげますよ 一個50円で す、の返事に即注文、待つ事暫し ガラス器に1ロ大に切られ程良く盛 られた桃をガブリ、風味感触は絶品、 皆一個で十分に堪能しつつ名残惜し げに出発、中里介山未完小説の主人 公、机龍之介の大舞台に向けての第 一歩である。
 上日川峠(1600m)ま で2時間を既定の隊列で進みなが ら、登坂開始時の呼吸は、スース、 ハーハのリズムに乗り滑り出し快調 である。未だ舗装路の坂を15分程 度歩いた頃より、気管孔から喉が跳 出すような呼吸に変り、平常呼吸が 難しい、小休止を挿みながら落着い て腹式呼吸を繰返し、気管孔から洩 出たヒューヒューの呼吸音は永く 吸う、吐気を短くのリズムで解消、 途中の千石茶屋‘までは順調な行 程、30度〜45度の坂をゆっく りと足を運び、余裕をもった時間で 行動すれば、我々のハンデーも健常 者同様と感じた。途中休憩を兼ねた 昼食で、同行者も元気回復の模様、 上目川峠13時50分ロッジ長兵 衛’野外ベンチにて大休止、気管孔 エプロンが気になり点検した処、付 着した痰の色は黄緑色に汚れ、エプ ロンに取付けたポリエチレンネット に硬くこびり付き皮膚に当たりこれ が気になりエプロンを予備と交換し た。暑い登り坂の後、缶ビール、か き氷で喉潤い残行程を考慮し福ち ゃん荘’までの舗装路行程で同行者 の状況判断する事に決めたが、W氏 体調不良の改善が見られず、同行 者協議にて本日の大菩薩嶺は明日に 変更し、宿舎勝緑荘‘に早目到着、 明日に期待と衆議一決した。  15時50分に勝緑荘‘到着。 玄関前で記念写真を撮り、一同安堵 して旅装を解き、順次風呂で汗流し、 一同揃って沢の瀬音に浸りながら、 玄関先の野外テーブルに陣取り乾 杯、1700m山中の静けさ に我等の声も何等支障なく会話が弾 んだ。
17時30分夕食時間は持ち 込OKで、カレー、給食皿に大盛り の惣菜が将に恰好の肴となり三種混 合ワクチン同様アルコールの効果が 表れ、お開きの時間、21時頃ま で宿舎主人の囲炉裏端四方山談義 を交えた、中里介山逸話を虚ろな低 落で拝聴し、下界の秋に使う掛布団 一枚寒さ感じず爆睡。2日目朝露の空気が ヒンヤリと気管孔に感じた山荘の朝 を初体験、気になる脹脛、腿も凝り なく快調。朝食手際よく済ませた後、 6時半出発大菩薩峠迄の行程、足元 確かに動いていた最中、W氏突然リ タイヤの申出に下山後の再会場所  。福ちゃん荘‘とし、4人再出発7 時20分休館改装中ので汀山荘‘を 見て、大菩薩峠の柱を背に記念写真 の準備中にW氏10分遅れで到着に一 同大喜び、介山荘‘のご主人にシ ャッターをお願いした。矢張り大菩 薩嶺迄のW氏同行は無理、再度4人 で出発、途中親不知ノ岩場、寞の河 原に下り、妙見ノ頭、雷岩を越し、 8時50分大菩薩嶺の三角点を樹林 の中に確認、展望全く聞けずの雑木 林視界なし。頂上2000m 急征服四人、感激も半減である。
因みに大菩薩嶺は2057m、 腹式呼吸で体調な完璧、お互いの澄 んだ声も聞え、また耳触りな都会の 喧騒もなく聞えたこの感激は、忘れ られない。9時5分雷岩を左に見越 し、W氏合流地。福ちゃん荘‘目指 し尾根伝いに怪我なく下山、W氏の福 ちゃん荘‘目前に出迎えに現れ10時 10分着、暫し休憩後上目川峠ロッジ 長兵衛‘10時20分大菩薩峠登山 口向けて下山開始、下りの呼吸は全 く支障なく、ただ転倒のみ厳重に注 意を向けた歩行が大事である。12 時40分番屋茶屋‘着、早速冷え た桃を注文、またビールで無事の帰還 に満足の乾杯、ざる蕎麦を嗜み、14 時で大菩薩の湯‘にて疲労回復の 汗流し、塩山駅までバス中は夢幻の 世界、心地よく登山完了に満足した。

 術後の体力低下を心配した術後3 年目頃より発声力の上達を志した時 期に、今回計画した登山では、リハ ビリの成果が十分に発揮できた。未 だ原音発声に苦労していた時期、腹 式呼吸を取人れた発声方法が、普通 の呼吸でも何ら問題なく呼気を十分 に食道へ導き、食道発声で会話をし、 マイク未使用でのプレゼンスも可 能、その成果も体力あっての事、健 康維持が最重要と感じた。年齢的、 個人差等による状況も食道発声上達 の妨げになる事情も致し方なしと、 現役維持必須な状況では、自ずと練 習に活気が座り、声にも表れてくる ものである。しかし家族間との会話 では多少の物足りなさで力み勝な音 質を、銀鈴会仲間、指導員の方々か らご指導戴いている要点を教訓とし て活用、喉の緊張感を幾らか和らげ る事で、スムーズな発声が出来、ま た焦らずゆったりとした発声に心が ける様にしたいものです。